「WordPress専用サーバー」を提供しているサービスの比較と、通常レンタルサーバーとの違い、選ぶメリットなどをご紹介したいと思います。
ワードプレスでHP公開・ブログ運営を開始する際、選択肢として挙がるのが”専用”サーバーではないでしょうか。
なにが”専用”なの?
普通のサーバーとの違いは?
メリット・デメリットは?
といった内容についてまとめたいと思います。
目次
動的サイト 静的サイトについて
初めに。
そもそもWordPressは表示速度が遅い!
HP/Webサイトを公開する時にHTMLとCSSだけで作られているようなサイトを静的なサイトと言います。対してWordPressや他のCMS(コンテンツマネジメントシステム)のようにログインして管理画面から更新を行うサイトの事を動的なサイトと言います。
※「動的」とは閲覧者によって表示が変わるサイトの事で、動的サイトがCMSのみを指すわけではありません。
多くの動的なサイト・CMSの共通点はデータベース(DB)を利用している点です。WordPressの場合は閲覧者がURLにアクセスすると、PHPという言語で作られたシステムがサーバーのDBからデータを引っ張り出してきて表示させます。
これが動的サイト・CMSの大まかな仕組みです。
サーバー側の処理が必要なため、サーバーの性能が高い方が表示速度が速いと言えます。
サイトの表示速度はSEO対策のみならず、ユーザーのストレスを軽減させる上でも重要な要素です。アフィリエイトでも、企業HPでも、検索エンジンからの集客を考えるなら表示速度を改善することは大切なことなのです。
キャッシュプラグインの効果は?
WordPressにはキャッシュ利用などで高速化するプラグインもありますが、やはり大事なのはサーバー自体の性能。
普通の車をいくら改造してもF1には勝てないように、元々のサーバー性能を超えることはできません。
WordPress専用サーバーは”専用”と名がつくだけあってWordPress以外の利用ができないことが多いですが、その分WordPressを使う事に特化したマシンなので普通のレンタルサーバーでWordPressを利用するよりも高パフォーマンスが期待できます。
KUSANAGI
WordPressに特化した仮想マシン「KUSANAGI」の名前を聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。WordPressサーバーを通常の約10倍の速さにブーストさせるというものです。
読売新聞のヨミドクター:https://yomidr.yomiuri.co.jp/
サンリオ:https://www.sanrio.co.jp/
といった、SimilarWebなどで計測すると月100万以上のユーザーが訪れる大規模サイトにも導入されています。
今回紹介するサーバーでは「カゴヤ」がこのクサナギを導入しています。
WordPress専用サーバーの比較表
こちらが”WordPress専用サーバー”の比較表となります。2018年7月末現在稼働中で、単に”WordPressにおすすめのサーバー”ではなく、”専用”という記載があるものに限定しました。
サーバー名からはサーバー毎の詳細見出しへ、各項目は項目ごとの説明にリンクしています。特に記載がなければ最安プランについての解説となります。
仕様 / サーバー | カゴヤWordPress専用サーバー | Z.com WP | COREPRESS Cloud | wpX クラウド | wpXレンタルサーバー | WordPress最適化サーバー |
---|---|---|---|---|---|---|
運営会社 | カゴヤ | GMO | GMO | エックスサーバー | 株式会社セブンアーチザン | |
最安プラン | グレード1 | エントリープラン | CP-1 | グレードA | 1プランのみ | 1プランのみ |
初期費用 | 0円 | 1,000円 | 0円 | 0円 | 5,000円 | - |
月額 | 400円 | 400円 | 500円 | 500円 | 1,000円 | 832円 (年額9980円) |
初年度利用最安 | 4,800円 | 10,600円 | 6,000円 | 6,000円 | 17,000円 | 9980円 (初期費用0円の場合) |
無料お試し期間 | 14日間 | 14日間 | 10日間 | 14日間 | 14日間 | - |
SSL(HTTPS) | 無料 | 1ドメイン100円/月 | 有料 | 無料 | 無料 | - |
SSD容量 | 20GB | 10GB | 10GB | 10GB | 30GB | - |
設置WordPress数 | 1 | 5 | 3 | 1 | 10 | 無制限 |
転送量 | 200GB / 日 | 15GB/日 | 150 GB/月 | 300GB/月 | 50GB/日 | 無制限 |
想定PV | - | - | 45万(従量課金あり) | 30万/月 | - | 200Mbps専用回線・転送量無制限 100万PVでも高速表示 |
メール | 非対応 | アカウント無制限 | 非対応 | 非対応 | アカウント無制限 | アカウント無制限 |
自動バックアップ | 1世代10GB無料 | 無料で14日分 | 14日分 | 無料で14日分 MySQL(DB)は管理画面から復旧可能 サーバー領域(Web/メール)データの提供は有料(税込5,400円) | あり | |
アダルト | 非推奨 | アダルト 出会い系 等禁止 | 禁止 | 風俗店やアダルトグッズ、同人系コンテンツの運用自体は禁止されていない 性行為またはそれを連想させる画像・動画を掲載している場合は、禁止事項に該当 | - 運営会社の利用規約に禁止の記載あり | |
強み | KUSANAGI プランのアップ・ダウン | 1クリックサイトコピー ステージング環境あり | ステージング環境あり プランのアップ・ダウン | プランのアップ・ダウン | 必要な機能が十分に揃っている 老舗の安心感 | 新規利用で初年度半額 引越しで初年度無料 共に8/30まで 他、特定ドメインが初年度無料 |
注意点 | メールサーバーにできない | SSL有料 | 従量課金がある CP-1で月1万5千人を超えると | メールサーバーにできない | 他より高額 | 情報が少ない |
※2018年7月27日リサーチ 最新情報は公式サイトにてご確認下さい。 ※「-」表記は明確な記載が確認できなかったものです。 |
では、それぞれの項目について細かく解説していきたいと思います。
運営会社
各WordPress専用サーバーの運営会社はいずれも大手・サーバー運営で長年の実績がある業者ばかりです。
カゴヤ・ジャパン
COREPRESSやZ.comはGMOインターネット
wpXは大手老舗のエックスサーバー
セブンアーチザンは耳馴染みのない方も多いかもしれませんが、多くのレンタルサーバーを運営している実績があります。
初期費用・月額・初年度費用イメージ
WordPress専用サーバーと言えば真っ先に思いつくのがwpXだったのですが、最近はカゴヤやZ.comでも低価格帯でワードプレス専用サーバーの提供を開始しました。
サーバー | 初期費用(税別 円) | 月額(税別 円) | 初年度(税別 円) |
---|---|---|---|
カゴヤ | 0 | 400 | 4,800 |
Z.com | 1,000 | 400 | 10,600 |
COREPRESS | 0 | 500 | 6,000 |
wpXクラウド | 0 | 500 | 6,000 |
wpXレンタル | 5,000 | 1,000 | 17,000 |
WP最適化サーバー | - | 832 | 9980 |
無料お試し期間
多くのレンタルサーバーでは無料お試し期間を設けています。この期間に使い勝手を確かめることができます。
セブンアーチザンのWordPress最適化サーバーについては無料お試し期間の記載がありませんでした。
SSL(HTTPS)
SSL(HTTPS)はhttpsで始まるサイトの事で、暗号化通信によりユーザーのセキュリティを高めてくれます。
SEO的にもプラスに働くだけでなく、ブラウザによって非SSL(http)サイト閲覧時に警告(「保護されていません」など)を出すようになっていることからも、SSL対応が求められています。
このように、明確に「保護されていない」などのネガティブな表現にかわりました。(2018年7月~)
セキュリティの観点はもちろん、ユーザーに不安を与えてしまう事は明白です。
通常は年額で数万円かかることもあるSSLですが、Let’s Encrypt導入など、無料でSSL対応ができるサーバーも増えてきました。Z.comでは月額100円のオプションとなりますが、他サーバーでは無料で導入できる点が大変親切ですね。
SSD容量
各サーバーに共通して言えること、それがSSDを導入しているという点です。レンタルサーバーといっても、基本的には皆さんがお使いのパソコンと変わりありません。
CPU / メモリなどの頭脳があり、HDD / SSDなどにはデータを入れておく領域があります。
従来のHDD(ハードディスク)と違い、SSDは処理速度が速いことで近年多くのレンタルサーバーが導入しています。反面容量が少なくなる傾向にあります。しかし、現在ご覧のRoot-013はもう4~5年運営していますが、バックアップ含めて10GB程度です。
サイトの数にもよりますが当面は大丈夫と考えてもよいでしょう。(アップする画像を軽くするなどの工夫はした方がよいです。)
カゴヤは最安クラスの価格でありながら20GBという容量を持っている点が評価できます。
設置WordPress数
WordPress専用サーバーの特徴の一つとして、設置できるWP数が少ない事が挙げられます。エックスサーバーが運営しているwpXクラウドの方はプラン変更もできますが設置できる数は1つのみ。
Z.comは5WP
COREPRESSは3WP
wpXレンタルは10WP
と、複数サイトの運営を考慮している方にはこれらのサーバーがおすすめです。
転送量・想定PV
「転送量」はサーバーからのデータを送受信した合計サイズとなります。
転送量に余裕があれば訪問者やPVが増えてもきちんとサイトが表示されます。トレンド系を扱うアフィリエイトブログなど短期間にアクセスが集中するような媒体を目指している方は転送量に余裕を見た方がよいでしょう。
カゴヤの1日200GBという転送量はこの価格だと業界最高クラスではないでしょうか。もちろん、セブンアーチザンの転送量”無制限”が一番ではあります。
サーバー | 転送量(GB/日) | 転送量(GB/月) | 想定PV |
---|---|---|---|
カゴヤ | 200 | ||
Z.com | 15 | ||
COREPRESS | 5 | 150 | 45万(従量課金あり) |
wpXクラウド | 10 | 300 | 30万/月 |
wpXレンタル | 50 | ||
WP最適化サーバー | 無制限 | 100万PVでも高速表示 | |
※GB/日に表記をそろえました。COREPRESSとwpXクラウドが公表しているのは(GB/月)の方です |
メール
WordPress専用サーバーの中にはメールサーバーとして使えないというサーバーもあります。
この中だと、カゴヤ・COREPRESS・wpXクラウドはサーバー管理画面からメールアドレスを作成したり、管理したりできないということになります。
ドメイン側でメールだけ別サーバーに届くよう、設定ができる
既存のサービスのブログやサテライトサイトとして利用する
サイトと同じドメインのメールは特に必要ない
ということが可能であれば気にすることはありませんが、契約してから”ドメインのメールアドレスが使えない!!”とならないようにチェックしておきましょう。
自動バックアップ
WordPressサイトの運用において注目して欲しい点の一つがこのバックアップです。
アップデートしたら不具合が生じた・・・
テンプレートに手を加えたらサイトが表示されなくなってしまった・・・
不正ログイン・データ改ざんで表示がおかしくなってしまった・・・
といった事態に対応できるよう、全てのWP専用サーバーで標準装備。さすがはWordPressに特化したサーバーと言えます。
こういった機能は有料オプションの場合も多いのですが、無料で提供している点が素晴らしいです。
BackWPupなど有名なプラグインでスケジュールを組んだバックアップも設定できますが、サーバー側に自動バックアップ・リストア機能が備わっていると便利ですね。
カゴヤでは1世代10GBまで可能。wpXではDBはリストアまでできますが、WordPressディレクトリのバックアップデータを取得するのは有料となるようです。
いずれのサーバーでも注意事項をよく確認しましょう。機械的にバックアップを取るだけで、確実性を保証するものではないという記述が見られます。例えばサーバー側でエラーがあってバックアップを上手くとれないこともあるかも知れないということですね。あくまで保険的な役割と考え、心配な時は自分でもバックアップを取るようにしましょう。
アダルト可否
アダルトコンテンツの可否はサーバーによっても異なりますが、明確にOKとしているサーバーはありませんでした。
- サーバー
- 自動バックアップ
- カゴヤ
- 非推奨
- Z.com
- アダルト 出会い系 等禁止
- COREPRESS
- 禁止
- wpXクラウド
- 風俗店やアダルトグッズ、同人系コンテンツの運用自体は禁止されていないが、性行為またはそれを連想させる画像・動画を掲載している場合は、禁止事項に該当
- wpXレンタル
- 〃
- WP最適化サーバー
- –
アダルトOKでWordPressが使えるサーバーはこちらでも紹介していますが、日本において運用されるサイトであれば、日本の法律を遵守したコンテンツを作ることが求められます。
WordPress・独自ドメイン・アダルトサイトやブログがOKなレンタルサーバーを比較
強み・注意点
SSD容量・SSL対応・転送量・メール などなど、作ろうとしているサイトによってもサーバーに求められる性能は変わってきます。それら以外の点で各サーバー独自の強みと言える部分をピックアップしてみました。
サーバー | 強み | 注意点 |
---|---|---|
カゴヤ | KUSANAGI プランのアップ・ダウン | メールサーバーにできない |
Z.com | ステージング環境あり 1クリックサイトコピー | SSL有料 |
COREPRESS | ステージング環境あり プランのアップ・ダウン | メールサーバーにできない 従量課金がある |
wpXクラウド | プランのアップ・ダウン | メールサーバーにできない |
wpXレンタル | 必要な機能が十分に揃っている 老舗の安心感 | 他より高額 |
WP最適化サーバー | 転送量無制限 | 情報が少ない |
カゴヤ WordPress専用サーバー
インストール不要ですぐにWordPressが使える!
税別400円~
SSD20GB
バックアップ10GB!
独自SSL無料!
電話サポートあり!
全プランKUSANAGI標準搭載!
WordPress専用サーバーとしてはかなり低コストながら、ワードプレス高速化仮想マシンKUSANAGIを搭載。そして1日200GBという転送量。
初心者にとってはマニュアルが充実しているのも条件ですが、低価格帯ながら電話サポートも対応している点がかなり親切です。
メールサーバーとして使えない点が少し残念ではありますが、
・gmailなどのアドレスで良い
・メールアドレスは特に記載しない
・サテライト・既存サイトのブログ
といった方にとっては最良とも呼べる選択肢の一つです。
個人的には、ニュース・メディアサイトのように短期間にアクセスの集中しやすいサイトを作りたい方にもおすすめできるサーバーです。
カゴヤの公式サイトはこちらから
カゴヤ・ジャパン
GMO Z.com WP
WordPress 5個設置可能!
メールアカウント無制限!
ステージング環境あり!
Z.com WPはGMOが運営するサーバーです。月額400円(1年契約の場合)から始められる低価格でありながら、WordPressが5つまで設置できます。容量が10GBということで2~3個のWPを数年利用すると足りなく感じてしまうかもしれません。もちろん更新頻度や画像の多さにもよるでしょう。テキストメインのブログなどにとっては十分といえる容量です。
転送量は15GB/日と、比較の中では多い方とは言えませんが、必要な機能を網羅しているサービスと言えます。SSLは有料オプションですが、月額100円と低コストで導入できます。
ステージング環境といって、公開中のサイトをカスタマイズする際に不具合が起きないよう、開発環境でカスタマイズをしてから公開中の本番環境に反映させる機能があります。
ステージング環境について
こうした点から、安定感が求められる小中規模の企業サイトにもおすすめできるサービスですね。
Z.com WP
GMO COREPRESS Cloud
COREPRESS Cloud(コアプレスクラウド)はGMOが提供するサーバーです。
3WP 設置可能!
ステージング環境あり!
オートスケール
無料でオートスケール機能がついているため、アクセスが急増しても安心です。(サーバー側で負荷を制御)
無料SSLの導入には対応していないようです。
また、従量課金制のため、各プラン既定の訪問者を越えると料金が加算されるシステムになっています。
プランCP-1だと月間15,000人を超えると1,000人ごとに100円追加されます。その分、プランのアップグレード・ダウングレードには柔軟に対応しており、低コストで始めたいという方にとってはありがたいサーバーです。
月間目安PVに45万PVを打ち出しており、wpXの想定PVが月間30万PVであることから考えてもサーバーの性能はかなりのものです。
wpX クラウド
”エックスサーバー”の安心感!
紛らわしいですがwpXには2種類あります。
1WPしか契約できないが、プラン変更が柔軟なwpXクラウド。メール機能はありません。
wpXレンタルサーバーは1プランしかありませんが10WPまで設置可能で、メール機能も利用できます。
作るサイトによるため、一概にどちらが良いとは言えません。wpXクラウドは500円から利用できますが、複数サイトがあってメールサーバーとしても使いたいならレンタルサーバーの方がコストを下げられる可能性もあります。
プランの拡張性に優れており、最高のプランでは月間2,500万PVに耐える性能を持っているのです。低コストから始められて、サイトが育っても乗り換え等を考えずに運用していけるのは大きな強みと言えるでしょうね。
wpX レンタルサーバー
”エックスサーバー”の安心感!
10WPまで設置可能!
WordPressの設置数を少くし、メール機能を無くす代わりに高速を打ち出していることが多いWordPress専用サーバーですが、wpXレンタルサーバーにおいてはSSD容量も設置数も随一です。
メール機能も使えるため、既存のサービスからWordPress専用サーバーに乗り換えたい・まとめたいという方におすすめと言えるでしょう。
セブンアーチザン ワードプレス最適化サーバー
転送量無制限を打ち出しているセブンアーチザン ワードプレス最適化サーバー。なんとWP設置数も無制限というから驚きです。月額換算800円代から利用できる機能とは思えません。
残念なのはちょっと情報が少ない点でしょうか。
8/30までの限定キャンペーンとして半額キャンペーンや初年度無料キャンペーンをやっています。
初年度半額となると9980 ÷ 2 ÷ 12 で月額415.8円となるので激安です。
引っ越しを検討されている方は無料になるということでかなりお得になりますね。
機能面は良さそうなので使ってみるという方は是非クチコミ情報をお寄せください!かなり興味あります(笑)
公式サイトはこちら
【WordPress最適化サーバー】
WordPress専用サーバーまとめ
WordPressが浸透し、新規サイトを作るならワードプレス!というケースがかなり多くなっているのではないでしょうか。
最近はWordPressのワンクリックインストールやマニュアルが充実しているレンタルサーバーがほとんどです。
WordPressのリスクやデメリットについても注目され、こうした専用サーバーが出てきているのでしょう。こちらの記事ではWordPressのシェアやメリット・デメリットについてまとめました。これからWordPressを始める方には一度目を通してほしい無いようです。
世界のCMSシェア約60%!WordPressが人気の理由とメリット・デメリット
WordPress専用サーバーでなくても、おすすめのレンタルサーバーはありますのでコスト毎に検討したい方はこちらもご覧ください。
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