レンタルサーバーのJETBOYとmixhostでWordPressのマルチサイト化を行いました。
サブディレクトリ型 サブドメイン型の方法について解説しています。SEO上の観点からもサブドメイン・サブディレクトリについてリサーチし、参考サイトもご紹介したいと思います。
目次
サブドメイン サブディレクトリを設けるケース
ブログや新商品の追加など、サイトに新しいコンテンツを展開しようとした時、サブドメインか。サブディレクトリか。別のドメインか。大いに悩むところではないでしょうか。
それぞれの仕組みや考え方をまとめました。
大前提として
別ドメイン=全くの別ドメイン=他人の家
サブドメイン=別ドメイン=親戚の家
サブディレクトリ=同一ドメイン=自分の家
という考え方がしっくりきます。
サブディレクトリはWordPressで言えばカテゴリ分けのようなものなので、この中に色々なものが混じると所謂「雑記ブログ」のようなものになるわけです。ただ、既存サイトのSEO効果を引き継いだうえでインデックスを増やせるというメリットはあります。
・テーマに一貫性が持てなくても、インデックスを増やした方が良いか
・インデックスを増やせなくてもテーマに一貫性を持たせた方が良いか
社内のリソースも影響してくるのでどちらが”良い”ということはなかなか言えるものではありませんね。
企業内でこれをやるとなるとまた大変。ブランディングの観点。社内体制の観点。そしてシステム上の観点からどれを取るか考える必要があるでしょう。
サブディレクトリ
サブディレクトリの分かりやすい例が価格コムでした。URLを見ただけで何が扱われているページなのか推測できますよね。
kakaku.com/pc/
kakaku.com/kaden/
kakaku.com/camera/
ですが、価格コムで保険の扱いを始めた時はこのようになりました。
hoken.kakaku.com
これがサブドメインの考え方です。
サブドメイン
価格コムでは、保険のサブドメインの中に
hoken.kakaku.com/insurance/医療保険
hoken.kakaku.com/insurance/がん保険
hoken.kakaku.com/insurance/介護保険
といったカテゴリを作ったわけですね。(/insurance/必要??と思わなくもないですが・・・)
既存サイトにサブディレクトリ形式で
kakaku.com/パソコン/
kakaku.com/家電/
kakaku.com/カメラ/
kakaku.com/保険/
となるのはサイト(ドメイン)のテーマ上一貫性が無くなると考えたのかもしれません。・・・単にシステム上・会社事情ということも考えられますけどね。
別ドメインでの運用にしなかったのは、『価格コム』がやってる保険比較サイトだよ!というブランディングになるからだと思われます。既存サイトの知名度を利用する目的もあったのではないでしょうか。
Yahooでもサブドメインで様々なサービスが展開されています。
Yahoo!スポーツ
sports.yahoo.co.jp/
Yahoo!不動産
realestate.yahoo.co.jp/
Yahoo!ビューティー
beauty.yahoo.co.jp/
など、それぞれテーマ毎のサブドメインを展開しています。
別ドメイン
サブドメイン・サブディレクトリは、「運営元が同一」であるということがはっきりと分かります。
SEO的にも、ブランディング的にも切り分けたい場合。まったく違う業種・テーマのサイトを立ち上げる場合はこちらの方がよい場合もありますね。
・”別もの”として見せたい
・ユーザーに関連性を感じさせたくない
ブランディング的にもマーケティング的にも関連のない場合にはまったく別のドメインを展開した方が良いこともあるでしょう。
サブドメイン サブディレクトリ、どっちが良い?
有名どころの記事から改めてサブドメインとサブディレクトリのメリット・デメリットを確認してみましたが、
・サブディレクトリとサブドメインでどちらがSEOに優位というものはない
・”テーマの一貫性”によってサブドメインかサブディレクトリを分ける
という見解が多かったですし、僕もその通りだなと思いました。
つまり、テーマの一貫性に主眼を置いた方が付随してSEOのメリットも高まるということではないでしょうか。テーマに一貫性が持てるならサブディレクトリの方がSEO上有利だと考えます。ドメインの評価を引き継げますからね。
少なくとも、家電の情報を調べたいユーザーがサイトに訪問した時に、保険の情報も掲載されている状態は混乱を招くということは大いに考えられます。両方興味がある人ももちろんいるでしょうけどね。(見せ方で解決する側面もありますけどね)
以下、参考にさせて頂いたサイトです。非常に参考になったので「サブドメインかサブディレクトリか」で悩んでいる人はご一読下さい。
SEO Pack
サブドメインとサブディレクトリに明確なSEO上のメリットは無いとした上で、同一テーマならサブディレクトリの方が良いという見解のようです。
同一テーマで運用していたサブドメインを、サブディレクトリに移行した時にどのような変化が起こるかなど、実験も行っており参考になりました。
似たテーマでSEO効果を引き継ぎたければ、サブドメインではなくサブディレクトリを使うべき
引用:SEO PACK『サブドメインとサブディレクトリ、どちらがSEO対策に有利?』(2016/3/9)
https://seopack.jp/seoblog/サブドメイン-と-サブディレクトリどちらがseo対策/
スポーツ用品を扱うサイトの大半が、園芸についてのコンテンツのような、明らかにテーマが異なる場合以外は、サブディレクトリで構築しなければ、内部リンクなどの現状のサイトからのメリットがなくなってしまいます。
引用:SEO PACK 『SEOを考慮したサブドメインとサブディレクトリの使い分けについて』(2016/7/5)
https://seopack.jp/internal-seo/basic/seo-subdomain-subdirectly.php
SEO HACKS
こちらで価格コムを例にしたお話をしていたのですが、
・価格コムをサブドメインで展開した場合
・Yahoo!がサブディレクトリで展開しない理由
など、仮説を交えた分析がされていて大変参考になりました。
「本体サイトのテーマの中の1コンテンツ」であればサブディレクトリで展開することにメリットが多いですし、「本体サイトとは役割や目的、サイトのテーマが異なる」場合にはサブドメインでの展開が自然です。
引用:『SEO HACKS サブドメインとサブディレクトリの違い・使い分け』
https://www.seohacks.net/basic/knowledge/subdomain-subdirectly/
海外SEO情報ブログ
サブドメインとサブディレクトリに優劣はないのでSEOに囚われるのではなく、システムやビジネスに合わせて選択するという考え方でした。
1.システム構成やビジネス形態に合わせて利用しやすい方を使う
2.SEOを考えた場合、サブディレクトリの方が有利な点が多い
ただし、1は2に優先します。
SEOばかりを考えて、運用が面倒になったりサイトのコンセプトがユーザーに誤って伝わってしまってはサイトを運営する本来の目的(たとえば収益を上げる)が達成できなくなる恐れがあります。
サブドメインとサブディレクトリをGoogleはどう扱うか? 新規サイトはどちらを使うべきか?
引用:海外SEO情報ブログ 『サブドメインとサブディレクトリをGoogleはどう扱うか? 新規サイトはどちらを使うべきか?』2012/11/1
https://www.suzukikenichi.com/blog/difference-between-subdomains-and-subdirectories/
WEB担当者Forum
サブドメインの方が適している例が紹介されていました。
サブドメインが適していると思われる例外
・社内の組織構成や管理体制によりドメイン名を分ける必要がある
・使っているCMSの仕様でサブディレクトリでは構築できない
・既存のサイトとテーマが著しく異なる(たとえば、映画のレビューをユーザーが投稿するUGCサイトのサブディレクトリに、果物の通販サイトがあるのは好ましくない)
引用:WEB担当者Forum 『サブドメインとサブディレクトリのSEO対決、2014年の勝者はどちら?』(2014/8/29)
https://webtan.impress.co.jp/e/2014/08/29/18128
WordPressをマルチサイト化(サブディレクトリ型)
WordPressで後からマルチサイトの仕様を変更するのは非常に困難です。カテゴリ・タグの切り分け以上に大変かもしれませんね。
なので、WordPressをマルチサイト化する際はじっくりと考えてからサブドメイン型かサブディレクトリ型かを選択しましょう。
大元となる親サイト(ネットワーク管理者)はドキュメントルートにWPがインストールされている状態で行いました。
【ドメイン】.com/wp/
のような状態では紛らわしそうなので・・・
プラグインなどは全て停止した状態で行いました。バックアップなどもしっかり行っておきましょう。
マルチサイト化を行った環境
WordPress 4.8.3
サーバー JETBOY
となります。
1.wp-config.phpをダウンロード
まずはサーバー上からwp-config.phpをダウンロードします。
2.マルチサイト化の記述を追加してアップロード
デバックの記述(define(‘WP_DEBUG’, false);)の下あたりに、以下の記述を追加します。
define('WP_ALLOW_MULTISITE', true);
3.管理画面・ツールからサイトネットワークの設置
WordPressの管理画面に行くと
ツール > サイトネットワークの設置
が追加されています。
4.サブドメインかサブディレクトリを選択して【インストール】
サブドメインかサブディレクトリを選択して【インストール】します。この操作はやり直しがきかないようなので十分注意しましょう。
完了すると、wp-config.phpと.htaccessに記述を追加するように指示されます。
出てくるコードをコピペして記述追加を行いましょう。
5.サイトネットワークの設置
再度wp-config.phpに記述を加えますが、【インストール】でwp-config.phpになにか記述が追加されているか分からなかったので再度サーバーからダウンロードしました。この方が確実だと思います。
/* 編集が必要なのはここまでです ! WordPress でブログをお楽しみください。 */
ではなく
/* That’s all, stop editing! Happy blogging. */
の人も居るかもしれませんね。(JETBOYで自動インストールを行ったらこうなってました)
同様に、.htaccessにも記述を追加します。
これは、既存コードに上書きなので注意が必要です。
デフォルトの状態がこちら。赤枠の中を上記の記述に置き換えるという点に注意してください。
また、サーバーによっては他の記述もあると思いますが、それらに手は加えないようにしましょう。
記述が終わったらアップロードします。
※ちなみに、以前のWordPressではwp-content内に『blogs.dir』というディレクトリを作るという工程もあったようですが、今は必要ないようですね。
7.再ログイン
wp-config.phpと.htaccessをアップロードし、管理画面に戻るとログイン画面に切り替わっていると思います。
再度ログインすると、サイトネットワークに関するメニューが追加されています。
8.サイトの追加
では、サイトを追加してみましょう。
サイトを追加すると、サイトネットワークに新しいサイトが追加されていることを確認できます。
マルチサイトでは、管理画面上で親サイトと子サイトを行ったり来たりできるようになるわけですが、この辺の操作に慣れないとちょっとややこしいです。
実際に子サイトで投稿・画像UPなどもしてみましたが問題ありませんでした。
マルチサイト化の勉強目的もあって立ち上げたのですが、まだディレクトリ構成なんかもどうなっているのかいまいちわかっていません。
とりあえず画像などは
uploads/sites/2/
にアップされているようです。
/2/はサイトID・・・のようなものかもしれませんね。サイトを追加すれば/3/、/4/と増えていくのかもしれませんね。
WordPressをマルチサイト化(サブドメイン型)
こちらも大元となる親サイト(ネットワーク管理者)はドキュメントルートにWPがインストールされている状態で行いました。
【ドメイン】.com/wp/
のような状態では紛らわしそうなので・・・
- wp-config.phpをダウンロード
- マルチサイト化の記述を追加してアップロード
- 管理画面・ツールからサイトネットワークの設置
- サブドメインかサブディレクトリを選択して【インストール】
1~4の工程はサブディレクトリ型と全く同じです。4で「サブドメイン」「サブディレクトリ」のどちらを選択するかで、5のコードの内容が変わってきます。
コードが変わるだけでやることは5も同じですけどね。
5.サイトネットワークの設置
※「ワイルドカードDNSが正しく設定されていない」と言われたら?
ちなみにこの時、注意!ワイルドカードDNSが正しく設定されていない可能性があります。と表示される方もいるかもしれません。
僕の環境ではとりあえず無視しても大丈夫でしたが、サーバーによってはムームードメインなどのドメイン業者側で以下のような設定が必要になるかもしれません。
今回の環境では、最終的にはよくやるこの方法、DNS設定のみでよかったです。
以下のカスタム設定は参考までに。
この『*』がワイルドカードと言われるものです。
CSSなどプログラムに少しでも触れていれば見たことがあるかもしれませんね。
昔は
* {
margin: 0;
padding: 0;
}
のようなリセットが用いられていました。この場合*は全要素を指します。
要はここにどんな文字列が来ても行き先はこのIPだよ・・・という指定になるということです。
5.ムームーDNSになっているか確認
ムームードメインでこのカスタム設定を利用するには、「ムームードメインのネームサーバを使用する」になっていなくてはいけません。
他社のネームサーバが選択されていたりするとカスタム設定が反映されないので注意が必要です。
6.再ログイン~サイトの追加
wp-login.phpと.htaccessのアップが完了したら、再ログインしてサブドメインでサイト追加ができるか確認してみましょう。
http”s”への変更などは
「すべてのサイト」> 編集
から行う事ができます。
サイトアドレス(URL)の変更が行えます。
このサイトにアクセスできません
おそらくここまで完了しても実際にサブドメインのサイトにはアクセスできないかと思います。
メインのドメインにはアクセスでき、サブドメインにアクセスできない状態です。
ここまで来たらあとはサブドメインをサーバーに追加するだけです。
7.サーバー側でサブドメインの追加
ここが一番迷った部分です。
一番のポイントはサブドメインのドキュメントルート(フォルダ)を、マルチサイト化したルートに設定することでした。
JETBOYの場合、ショートカットからサブドメインを簡単に作ることができますが、この方法だとサブドメインのディレクトリが自動生成され、サブドメインがWordPressサイト以外を見てしまいます。
なので、サブドメインの指定先を、メインのドメインと同じにする必要があったのです。
3.ドキュメントルートはメインドメインと同じ(親サイトと同じ)
WordPressのマルチサイト化 まとめ
サブディレクトリ型もサブドメイン型も、途中まではまったく同じ工程なので何度かやると慣れてきました。
サブディレクトリ型はよほどの理由がなければカテゴリか、カスタム投稿という方法もありますよね。
SEOの為にこれがベスト!
という考え方ではなく、どれを選択すればユーザーの利便性やブランディング、管理・運営の効率が上がるのかを考えるのがよさそうですね。